ポルシェの鈑金塗装へのこだわりと想い

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大岩自動車の大岩誠治です。私が修行時代に「ポルシェを直せたら一人前だ」と言われたことがあります。その時にはよくわからなかったのですが、ポルシェと関わるようになって少しずつわかってきたような気がします。

初期から生産してから今までのポルシェの中で、今でもその70%のポルシェが現役で走っていると言われます。そのポルシェの持つ魅力やフォルムで乗り続けたい方が多いのはもちろんだと思うのですが、走りにこだわり長く乗れる車を作ろうとしていたその造りにも理由があると思います。

ポルシェの作業を重ねるとその剛性は凄いと感じています。パネルの鈑金・修正は剛性が強いと一度歪んでしまうと直すのが大変なのです、その辺ができれば一人前だという意味ではなかったのかと思います。

私は直し屋になりたいと思っています。交換屋ではなくて直し屋になりたいのです。
そこの中で鈑金というものに拘っています。

ポルシェの鈑金塗装について主に930、964あたりを多く手がけた立場から大岩自動車の作業に対する想いを話したいと思います

古いポルシェの作業をする時に避けて通れない錆びの問題。

ポルシェはダメージを受ける場所が共通しています。ガラス周り・フェンダーの内側・バッテリー部分などです。

当社の1番のこだわりは錆。錆は取り切れるものではないが、出来る限り抑えたい。
サンダーなどで必要以上に削るのではなく、場所によってワイヤーブラシを使い目視で無くなるまで削るのは、錆を除去して生きている鉄板をとにかく残したいと思っているからです。

当社では基本的には錆びていなければ新車のそのままの下地を活かすように心掛けています。先ほども書きましたが、錆を除去して生きている鉄板をとにかく残したいと思っています。

多くの方はポルシェの塗装は防錆力が高い、と思っているでしょう。かなり錆びに対しては強いと思います。
その秘密は鋼板に施された防錆処理にあります。ポルシェは75年以降は防錆処理のために施された亜鉛メッキが非常に厚いのです。

下地作業の進め方について

過去に鈑金等がしてある場合ブリスタや錆びなどが発生していることがよくあります。
錆びやブリスタの発生した車の多くは、事故などで修復する鈑金の際に塗膜を削って鋼板面をだし、そこにパテがつけてあります。そしてそのパテと鋼板の間が密着不良を起こして錆びてくる、と言うことが見られます。

鋼板まで削ってしまった場合には通常は最低でもサフェーサーを塗ってからパテをつけるようにするのですが、ポルシェの場合亜鉛メッキが厚いために普通に鋼板を削っただけでは亜鉛メッキの層がかなり残ってきます。ここで使用するのがエポキシプライマーです。エポキシ系のプライマーが一番酸素から遮断されます。当社では鉄板が出たら必ずプライマーを入れています。

ただし、プライマーはよく乾燥させないと密着不良を起こすので慎重に作業をしています。

つまり通常国産の車などは
「鈑金→旧塗膜研磨剥がし→パテ→サフェーサー→上塗り」と言う工程になりますが当社でポルシェを扱う場合には
「鈑金→旧塗膜研磨剥がし→エポキシプライマー→サフェーサー→パテ→サフェーサー→上塗り」
と言う工程になります。つまりとても手間がかかるということです。
もちろん通常の工程でも作業は出来ますが不具合発生のリスクは高まります。

古い車を守るために新しい技術・材料を取り入れる

「車のためにいい材料」を厳選しています。
車・鉄板にとって良いもの優しいもの、継続して形の変わらない材料を積極的に取り入れています。
UVパテ・UVサフ・ポリサフなどがそれに当たります。

ポルシェの塗装に限った話ではないのですが、車を修理するとパテやサフェーサーの跡が出てくることが良くあります。
2液のパテはそのものがやせます。そこを鉄板で作ったりしているとコストも時間もかかる。後々パテあとが出にくい材料を使いたい。それを色々研究しながら取り組んでいます。修復したことがわからないように、を目指しています。

当社では基本的に鉄板が出たらエポキシプライマーを入れて、サフェーサー処理の後にLEDパテを使用しています。
LEDパテは鉄板そのままでも密着もするし、パテそのもののやせも少ない。樹脂になるので湿気や酸素を通しません。今までの2液のパテのように熱を持たず、収縮率が非常に少なく密着が良いのが特徴です。
通常のパテよりも何倍も費用が高いですが、効果も大きいので当社ではLEDパテを使用しています。

EPプライマーの前に転換剤(赤錆びから黒錆びに換えるもの)を使い樹脂でコートする(Gコートハイグレード)というものを使ったりもしています。

面積の大きなものは転換剤(Gコート) EP 歪みをなくすために厚みが出てガンで吹けるパテサフというものを使用して膜圧をつけてから研ぐこともあります。
膜圧をつけない場合では研いでいたら凹んでいることがあったしすると何度も何度も同じ作業をしなくてはならずキリがない作業になってしまうことがあります。それを防ぐためにも膜圧がつけられるサフェーサーも使用することがあります。
このパテサフは長い期間経ってもやせない材料を使っている。特に大きな面積の時にはとても有効です。

鈑金について

先述したようにダメージ受ける場所がポルシェは共通しています。錆によりフロントノーズの左側パネル交換した事例もあります。
運転席の足元も水がたまりやすいので穴が開いている車が多いので、これも新品のパネルに交換することも多いです。
「長く乗るためにやる」ということを考えて修理をします。

錆で穴が空いているような場合、方法はいくつかあってダメージの大きさやお客様のご予算やご希望によって方法を変えます。
溶接すると裏が熱で焼けているのですぐに錆びてくることも多いです。

レストアに関してはフレーム修正もする場合が多いです。過去に事故歴があると思われる車はフレーム修正する場合が多いです。

事故などの修復にならし鈑金もしています。
極力パテをつけないように、凸凹をなるべく無くす。
鉄板をなるべく元の位置に平に戻してなるべく削らないようにするということなどを心掛けています。
しっかり直しておくと次に何か起こった時にも修復ができます。
きちんと直しておかないと修復できなくなることもあり、長く乗るために必要なことだと思っています。
ここまでやってから防錆処理やプライマー処理に入ります。

長く乗れるからやる価値がある。

自分のところでやれることはベストを尽くして作業をしています。

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